
熱帯夜 (角川ホラー文庫)
曽根 圭介
この本について
仕事で疲れて帰ってきた夜に、なんとなく胸の奥がざわつくことってありませんか。日常は回っているのに、言葉にできない不安だけがまとわりつく感じです。ホラーを読むと一瞬だけその不安を忘れられることもあるけれど、逆に自分の生活と地続きの怖さに触れてしまうこともあります。 『熱帯夜』を読んでいて抜粋された場面を見ると、読者が反応しているのは「事件」そのものより、登場人物のなんてことない仕草や、家族の間にある微妙な温度差の描かれ方なんだろうなと思いました。父のトレーニングウェアで汗をぬぐうような、説明しようとするとすり抜けていくリアルな質感。ああいう細部が積み重なることで、日常が少しずつ軋んでいく恐怖がじわっと立ち上がってきます。 この作品は、いわゆるビックリ系のホラーではなく、「自分の生活のすぐ隣にも何かあるかもしれない」という感覚を思い出させてくれます。登場人物の孤独や不器用さが自分に重なって見えてくるので、怖いのに読み進めてしまう。普段の生活で説明できないモヤモヤを抱えがちな人には、特に刺さる一冊だと思います。 派手な救いがあるわけではないけれど、読み終わったあと、夜の静けさの捉え方が少し変わります。そんな“地に足のついた怖さ”を味わいたいときに手に取りたい本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
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