
影武者徳川家康(上中下) 合本版
隆 慶一郎
新潮社 / 1993-08-25
この本について
仕事でも人間関係でも、「自分の動き方はこれでいいのか」「他人を気にしすぎてしんどい」というモヤモヤって、意識していなくても日常のどこかに残り続けます。やるべきことは分かっているのに足が止まるときや、誰かの態度に振り回されて疲れてしまうとき、自分の芯みたいなものを一度取り戻したくなるんですよね。 『影武者徳川家康』を読むと、その芯が意外な角度から静かに刺激されます。たとえば「やり甲斐のある仕事ほど男を鼓舞する」という一節は、成果とか評価とは別に、自分が腹を決めて向き合える対象があるかどうかを問われているようでした。やらされ仕事ではなく、自分で選んだ道なら、途中で倒れても意味がある。そんな感覚を思い出させてくれます。また、「人間は結局、自分のしたいようにしかしない」という冷静な視点も、他人を変えようとして空回りしてしまう日々に、ほどよい距離感を取り戻してくれます。相手をどうこうするより、自分の立ち位置を整える方が早いんだよな、と腑に落ちる。 歴史小説ではあるものの、武将たちの生々しい決断や割り切り方を追っていると、自分の生活にもそのまま持ち帰れる感覚がいくつも見つかります。「周りに合わせすぎて疲れ気味の人」にとって、静かに効いてくる本です。
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