
別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう
斎藤 環, 水野 和夫, 田中 優子, and 高橋 源一郎
NHK出版 / 2016-04-25
この本について
最近、社会のニュースを見るだけで気持ちが落ちつかなくなることが増えました。戦争の話題も、分断や格差の話題も、距離があるようでじわじわ自分の生活に入ってくる感じがして、「結局、私たちは何を手がかりに考えればいいんだろう」と立ち止まることが多いんですよね。 この本は、そういうモヤモヤに対して大きな答えを提示するというより、「視点を一段だけ上に上げてみると見えるものがあるよ」と案内してくれる感覚に近いです。たとえば、フロイトの生の欲動と死の欲動の話は、ニュースに触れた時に自分の中でざわつく感情を、ただの不安や怒りとして流さず、「身体に根ざした動きとして理解する」という別の捉え方をくれます。また、ブローデルの“長い十六世紀”の話は、いまの経済や格差の揺れを「初めて起きた危機」ではなく「長期の構造変化」として見る余裕をつくってくれるので、日々の情報に振り回されにくくなる。さらに、対話は本来ポリフォニックである、という指摘も、平和や政治の話題で相手とぶつかったときに一拍おいて考える余地をくれるんですよね。 大きなテーマの本ですが、抽象理論の押しつけではなく、いまの生活の不安にゆっくり効いてくるタイプだと思います。自分の感情の動きと社会の変化を、もう少し冷静に繋いで見たい人に刺さる一冊です。
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