
新装版 星降り山荘の殺人 (講談社文庫)
倉知淳
講談社 / 2017-07-14
この本について
仕事でも人間関係でも、いろんな立場の人が入り乱れる場に放り込まれると、自分はどこに立っていたらいいのか分からなくなることがあります。感情がぶつかり合うと余計に視野が狭くなって、判断が雑になる瞬間もありますよね。僕もよくあります。 『星降り山荘の殺人』を読んでまず感じたのは、「人物が多い状況に置かれたときほど、自分の観察のクセが露骨に出る」ということでした。読者の方が保存していた登場人物一覧は、まさにその“人が多い場の情報整理に振り回される感覚”そのものだと思います。物語では肩書きも年齢もバラバラの人たちが一つの場所に詰め込まれるのですが、その群像の中で何を信じ、どの視点に立つかがじわじわと問われます。そして、もうひとつ引用されていた「怒りは進歩を生まない」という一文。ミステリの中で突然くるこの言葉が、妙に日常に引き戻してくるんですよね。焦って決めつけると、真相から遠ざかるのは物語でも現実でも同じだなと。 この本は、事件を追う面白さはもちろん、混沌とした状況の中で落ち着いて立ち位置を整える感覚を思い出させてくれます。人が多い場にいると疲れやすい人や、感情に振り回される自覚がある人には特に刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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