
理系脳で紐解く日本の古代史: 技術と交通インフラを軸に古代史を再考する!
齋藤茂樹
この本について
古代史を読むとき、神話や英雄譚の雰囲気に引っ張られて「本当にこんな移動できたの?」とか「この時代の人の暮らしって実際どうだったんだろう」とモヤモヤすることが多いと思います。僕もそうで、地名や人物より前に、まず“物理的にあり得るのか”を知りたくなるタイプです。 この本は、そのモヤモヤにかなり効きます。たとえば、熊野川を遡る東征がそもそも船の構造上むずかしいことや、潮の満ち引きが六時間ずれて港の判断基準になっていたことなど、読みながら「あ、当時の人はこんな風に世界を見てたのか」と現実の身体感覚で理解できる。さらに、黒曜石やヒスイの分布、潟湖や瀬戸内の潮流の話から、古代の移動ルートや勢力の広がりが“技術と地形”という根拠でつながっていくのも面白いところです。英雄譚がなぜ成立しないのか、逆にどんな動きなら可能だったのかが見えてきます。 もう一つ大きいのは、血統や家系のイメージが現代ほど強固ではなかったことが、遺伝の視点でサラッと説明される点です。数百年の血統が意味を持たないという話は、古代の人の流動性を考える上で目から鱗でした。 神話と史実の境目に違和感を抱いてきた人、あるいは「地形と技術から歴史を読みたい」というタイプには特に刺さると思います。神秘ではなく現実の条件から古代を見直せる一冊でした。
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