
現代コーポレートガバナンス 戦略・制度・市場 (日本経済新聞出版)
江川雅子
日経BP / 2018-11-22
この本について
コーポレートガバナンスの話って、仕事で触れるわりに「結局どこをどう見ればいいのか」が曖昧なまま放置されがちですよね。社外取締役が増えると何が変わるのかとか、株主価値に寄りすぎると何がまずいのかとか、モヤモヤしたまま会議資料だけが積み上がる感じ、僕もずっとありました。 この本は、そのモヤモヤを理論だけでなく“現場で起きているズレ”まで含めて整理してくれるところがありがたいです。特に、株主価値最大化の短期志向がどんな副作用を生むのか、そして世界的にステークホルダー視点への揺り戻しがなぜ起きているのかを、批判や実証研究を交えながら淡々と説明してくれるのが助かります。それに、監査役会設置会社や委員会等設置会社がどう生まれ、どんな機能の重複や不全を解消しようとしてきたのかを追うと、「制度を変えればすべて良くなるわけではないんだよな」という現実的な視点も持てます。 さらに、取締役会の監督機能が“平時ではなく有事に強く効く”という研究のまとめは、組織の動きを見ていて腑に落ちる部分が多かったです。日々の業績とはなかなか結びつかないのに、社長交代や買収局面では一気に存在感が出る、あの独特の力学を言葉にしてくれる本は意外とありません。 制度の名前だけ追っていてもしっくりこない人や、「結局ガバナンスって何を変えるための仕組みなんだっけ」と立ち止まりたい人に向いている一冊です。僕自身、この本のおかげで、取締役会の議論や外から見える企業の動きを“目的と因果関係”で整理し直せるようになりました。
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