
経済で読み解く世界史 (扶桑社BOOKS新書)
宇山 卓栄
扶桑社 / 2019-01-31
この本について
歴史を学んでいるときに、「結局、国が動く理由ってどこにあるんだろう」とか、「なぜ同じ失敗が繰り返されるんだろう」と、答えのないモヤモヤが残ることがあります。倫理や思想だけでは説明しきれないし、政治の話にしてしまうと急に距離が生まれる。とはいえ、今の世界情勢を見ていると、どこかで自分の生活ともつながっている気がする。その距離感にずっと迷っていました。 この本は、そのモヤモヤに「経済」という土台から光を当ててくれる感じがします。たとえば覇権の成立に「詐術」や「強奪」という現実的な要素があることや、奴隷貿易の終焉が倫理よりも採算で決まった話など、耳触りのいい物語ではなく、経済行動としての国家を見せてくれます。交子の濫発や金本位制の維持にこだわった政策判断なども、「なぜそう動かざるを得なかったのか」という視点で読むと、今の金融ニュースの見え方も変わってきます。カルタゴやローマの話も、経済判断が軍事や政治の引き金になっていく流れが丁寧に描かれていて、歴史が急に立体的になります。 結局、国も組織も人間も、「食べて、働いて、回していく」ために動く。その当たり前を一回ちゃんと見るだけで、ニュースに振り回されにくくなるし、判断の軸が少しだけ安定する。本書はそんな読み方ができる一冊でした。 歴史の背景にある“お金の動き”が気になってきた人に、とても向いていると思います。
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