
あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室
長久 允
この本について
創作をしていると、自分の内側にあるものをどう扱えばいいのか分からなくなる瞬間がありませんか。経験だけでは足りないし、取材した事実を積み上げても固くなる。じゃあ妄想で突っ走ると浮ついてしまう。手を動かしたいのに、「正解の配合」が見えずに止まってしまう、あの感じです。僕もよくそこで足が止まります。 この本がおもしろいのは、「正解の配合なんて人によって違う」と最初から開き直っているところです。経験3:取材2:妄想5、みたいに、自分の“性”に合う割合を探す発想をくれる。さらに、アイデアが降ってくるまでの時間のかかり方が人によってまったく違う、という前提で話が進むので、焦って何かを作ろうとしているときほど肩の力が抜けます。思い込みにアクセルを踏み切っていい、でも物語にならない日は気にしなくていい。そんなふうに言われると、創作のサイクルそのものを受け入れやすくなるんですよね。 もうひとつ刺さったのは、「セリフを1000個書く」という無茶にも見える手つきです。キャラも決めず、シーンも決めず、場所に行って憑依する。その雑さというか、生っぽさが逆にすごく実用的で、固まった頭を一度ほぐしてくれる。脚本に限らず、表現の入口でガチガチになりがちな人にはかなり効くはずです。 似たものを作ろうとして行き詰まっている人、自分の悩みを創作にどう変換していいか分からない人に向いています。自分の内側の混乱ごと、作品の素材にしてしまいたいときに手元に置いておきたい一冊でした。
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