
名前探しの放課後(上) (講談社文庫)
辻村深月
講談社 / 2010-09-15
この本について
人間関係のちょっとした違和感とか、集団の空気に巻き込まれる感じって、日常の中でふと引っかかりますよね。相手がどう見ているのかも分からないし、自分がその場でどう振る舞えばいいのかもはっきりしない。そんな曖昧さに疲れたとき、辻村深月さんの『名前探しの放課後(上)』は、少しだけ視点を整えてくれました。 この物語に出てくるのは、ただの“青春ミステリー”に収まらない、人の心のざらつきそのものです。例えば、嫌いな人のことを話す時だけ妙に饒舌になってしまう自分への居心地の悪さとか、「被害者」「加害者」という言葉で出来事を分類した瞬間に、どこかで安堵してしまう自分の感情とか。読みながら、登場人物の言葉に自分の無自覚さをそっと照らされるような感覚がありました。また、地方で育つことの土着性や、そこに留まる覚悟のようなものが静かに描かれていて、自分の選択がどれだけ環境に影響されているのかにも気づかされます。 大きな答えが示されるわけではないのですが、誰かの軽率な一言がどんな背景で生まれているのか、逆に自分の反応がどこから来ているのかを、物語越しに落ち着いて眺められるようになる本です。日常の違和感に「名前」をつけたい人に、とても合うと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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