
オリエント急行殺人事件 名探偵ポワロ
アガサ・クリスティ、古賀照一
講談社 / 2017-11
この本について
仕事で人と向き合うとき、相手の言葉の裏を読み間違えたり、場の空気に振り回されたりして、自分でも何が正しいのか分からなくなる瞬間がありませんか。強い態度の人にのまれたり、逆に曖昧な反応にペースを乱されたりして、「結局ほんとのところは何なんだ」と疲れてしまうあの感じです。 『オリエント急行殺人事件』を読むと、そのモヤモヤが少し整理されます。ポワロが、そっけない受け答えに惑わされず事実だけを拾ったり、わざと訛りを強調して相手の反応を確かめたり、場によって言葉の温度を変えながら真意に近づく姿が、妙に実務的なんです。誰かの芝居がかった態度にイラッとする瞬間もありますが、ポワロはそこで感情に流されず、靴の汚れや書類の文字の癖など、具体的に見えるものへ立ち返る。あの冷静さを一度知ると、日常の会話でも「いま私が見ているのは事実か、雰囲気か」を考えやすくなります。 もう一つ、この物語は“人の言葉は条件次第でいくらでも変わる”という当たり前のことを、嫌味なく突きつけてきます。食事の席では哲学的になる人がいたり、危険を前にしても平然としてしまう人がいたり、背中がぞっとするような一言を冗談めかして言う人がいたり。その振れ幅をそのまま受け止めると、人づきあいの無理な力が少し抜けます。 人の言動の揺れに疲れやすい人や、「相手の真意を読むのが苦手」と感じている人には、静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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