
中国 目覚めた民衆―習近平体制と日中関係のゆくえ (NHK出版新書)
興梠 一郎
NHK出版 / 2013-01-10
この本について
海外ニュースで中国の数字だけを見ても、実際の暮らしの感覚がつかめずにモヤモヤすることってあります。成長率がどうとか、政策がどうとか言われても、そこに生きている人が何を抱えているのかが見えないと、判断のよりどころがなくなるんですよね。僕自身、なんとなく「中国はすごいらしい」で止まっていた時期が長くて、その曖昧さがずっと気持ち悪かったタイプです。 この本が効くのは、そういう“数字の裏の実感”を埋めてくれるところだと思っています。たとえば、都市と農村の九倍にもなる所得格差が、単なる不平等ではなく、出稼ぎ労働者を低賃金で使える土台になり、あの急成長を支えていたという指摘。聞いたことはあっても、具体的にどんな生活なのかまで想像が届いていなかった自分にはかなり衝撃でした。さらに、戸籍制度の仕組みが教育のハードルをどれだけ上げているのか、医療費を払えずに追い詰められる人がどれほど多いのかなど、「なぜ不満が蓄積するのか」が生活レベルの描写でつながっていきます。 読んでいると、中国を一枚岩の巨大国家としてではなく、制度に振り回されながらも生きている個々の人たちの集合として見られるようになるのが、この本の一番大きい変化かもしれません。ニュースの背景を自分で読み解きたい人には特に刺さると思います。
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