記憶の絵 (ちくま文庫)

記憶の絵 (ちくま文庫)

森茉莉

累計読者数2
平均ハイライト数 3件/人
star総合評価 28/100
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この本について

最近、何が正しいのか分からなくなる時があります。これを守れと言われても、気持ちが追いつかなかったり、逆にきっちり守ろうとして苦しくなったり。ゆるく生きたいわけじゃないけれど、かといって一直線に走れるほど単純でもない。そんな揺れの中で、自分の軸をどう扱えばいいのか分からなくなることがあると思います。 森茉莉の『記憶の絵』を読んでいると、その迷いが少し呼吸できるようになります。読者がよく保存している「正しいことは、ある程度の余裕をつけて守るべき」という一節は、いまの窮屈さをほぐしてくれる感覚に近いです。息苦しい“正しさ”に向かって背筋を伸ばすんじゃなくて、少し遊びを持たせながら歩いていい、という視点。さらに、彼女が描く幼少期の鮮烈な記憶や細部へのまなざしは、自分の中にも眠っていた感覚を静かに呼び起こしてくれます。過去の自分を思い出すことで、いまの自分の輪郭が少し整うような読み心地があります。 事実と記憶が自然に混じり合う語り口も、肩の力が抜けていて心地いいです。人生をていねいに振り返りたいけれど、説教くさい話には疲れてしまう人に向いている本です。

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