
「かわいい」論 (ちくま新書)
四方田犬彦
この本について
日常の中で「なんでこんなに何でもかんでも“かわいい”で片付くんだろう」と、うっすら疲れてしまう瞬間ってありますよね。言われたらうれしいはずなのにどこか落ち着かない。逆に自分が口にするときも、ちょっと距離をとっている感じがある。このモヤモヤって、意外と誰にも説明しづらいまま積もっていく気がします。 『「かわいい」論』は、その正体をひとつずつ丁寧にほどいてくれる本でした。たとえば、海外では cute と呼ぶこと自体が政治的な意味を帯びること、日本文化には未完成なものを愛でてきた長い歴史があること、そして「かわいい」と呼ぶ側の力関係がどう働いているか。読みながら、自分がなぜ“素直によろこべない時”があるのか、その背景が静かに見えてくる感覚がありました。 個人的に効いたのは、「かわいい」は本質ではなく、こちらが投影する行為だと示されるくだりです。だからこそ、他人のぬいぐるみはかわいく見えない。かわいさが関係性の中で生まれるものだとわかると、自分が感じていた違和感の居場所がようやくつかめる気がしました。 「“かわいい”という言葉の力に振り回されている気がする人」に刺さると思います。ふだん当たり前に使っている言葉を見つめ直すだけで、世界の輪郭が少し変わるような一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
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