
幻の翼(百舌シリーズ) (集英社文庫)
逢坂剛
集英社 / 2014-03-25
この本について
仕事で誰かを守りたいのに、立場や状況がそれを許してくれない時ってありますよね。かばうほど疑われたり、手を尽くしても結果が伴わなかったり。やれるだけやったつもりでも、「結局だめだったか」と静かに現実だけが残る感じ。あの割り切れなさに、どう向き合えばいいのか分からなくなることがあります。 『幻の翼』の抜粋を読んでいると、読者が刺さっているのは派手なアクションよりも、そうした“どうにもならない局面”に立つ人の呼吸や沈黙の方だと感じます。長官が部下をかばいにくい立場に置かれる理不尽さ。殴り合いの裏にある、吐けと言われても吐けない人間の意地。海に落ちた仲間をあっさり見捨てる工作船の冷たさ。そして、手を尽くしても結果が出なかった報告を淡々と受け止める倉木と、美希のあの間。どれも、現場にいる人間の“折り合いのつけ方”を静かに描いています。 この本が効くのは、強がりや正論ではなく、現実の重さとどう距離をとるかを教えてくれるところです。無力感そのものを否定せず、そこからでも前に進める余白を残してくれる。答えを示すというより、迷っている自分をそのまま物語の中で許してくれる感覚があります。 責任と現実の間でいつも立ち止まってしまう人に、特に刺さる物語だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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