
百舌の叫ぶ夜(百舌シリーズ) (集英社文庫)
逢坂剛
集英社 / 2014-03-25
この本について
仕事でも日常でも、人の「本音」がどこにあるのか分からずモヤつく瞬間ってありますよね。言葉の裏を読むのが苦手だったり、相手の沈黙が何を意味するのか掴めなかったり。自分もよくそこで立ち止まります。 『百舌の叫ぶ夜』を読むと、そのモヤつきが少しだけ形になる感覚があります。登場人物たちが放つ細かい視線や、言いよどみ、急に落ちる沈黙。これらが物語の伏線としてだけでなく、「人ってこんな風に嘘をつく」「こんな風に追い詰められる」という現実的な質感で描かれているんですよね。読者が保存した抜粋を見ても、誰かが拳銃を上着に押し込みながらうなずく仕草や、相手の不在をめぐる曖昧な受け答えなど、言葉より態度で物語が動いていく場面に惹かれているのが伝わります。 もう一つ、この作品が効くのは「人が追い込まれたときの選択」がとても具体的に描かれるところです。家族がいるからこそ抱える重さや、知らないと言いつつ目が泳ぐ感じ、黒いコートの女とわずか二十分話しただけで空気が変わる瞬間。こういう細部が、自分の日常にもじんわり重なってきます。正義とか悪とかを簡単に断言しない物語だからこそ、「もし自分ならどう動くかな」と静かに考えられるんです。 静かな緊張感の中で、人間の嘘や弱さを丁寧に追いたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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