
この本について
仕事でも日常でも、気持ちがうまく動かない日が続くと、「自分ってなんでこんなに鈍いんだろう」と思ったりします。考えすぎて疲れているのに、肝心なところではなにも感じ取れないような気がして、ぼんやりしたまま時間だけが進んでいく感じ。そんなときに、俳句の短さが逆に救いになることがあるんだな、とこの本を読んで思いました。 読者の方が保存していた句を眺めていると、「ああわたしたぶん誰かの」のように、意味が説明しきれないのに気持ちだけストンと落ちるものが多いんですよね。言葉が速く刺さってくる、という表現がまさにその通りで、「コンビニのおでんが好きで星きれい」みたいな日常と宇宙が突然つながる瞬間に、思考が勝手に深呼吸する。自分の気分を言葉で整えるのが苦手な人でも、句の方が先に気持ちを拾ってくれる感じがあります。 もうひとつ印象的なのは、句の世界が決して“きれいごと”だけじゃないところです。〈トンネル長いね草餅を半分こ〉のようなささやかな場面もあれば、「幸福だこんなに汗が出るなんて」のような身体のぶっつけ本番みたいな幸福もある。気分の振れ幅をそのまま受け止めてくれるから、元気じゃない日に読むと逆に呼吸が戻ってくることがあるんですよね。 俳句を神聖視する必要はなくて、ただ「自分では言えないことを一瞬で言い当ててもらう」体験に近い気がします。なんとなく気持ちが鈍っている人や、忙しさで感覚が平たくなってしまった人に刺さる本です。
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