
近代秀歌 (岩波新書)
永田 和宏
岩波書店 / 2013-01
この本について
仕事でも日常でも、心がざわつく時って、理由ははっきりしないのに「どこにも居場所がない感じ」だけが残ったりします。言葉にできないまま抱え込んでしまうことも多いですが、そんな時に短歌のような短い表現が、ふっと気持ちの奥を代弁してくれる瞬間があります。 『近代秀歌』を読んでいて思ったのは、収録されている歌そのものはもちろん、永田さんの解説に触れることで、自分の感情の“形”が少し見えてくることです。たとえば「幾山河 越えさり行かば寂しさの 終てなむ国ぞ」という旅の寂しさや、「草づたふ 朝の螢 よみじかかるわれのいのちを 死なしむなゆめ」のような切実さに、読者が強く反応しているのは、日々の不安や孤独をごまかさずに言い当ててくれるからだと思います。また、忘れ草や桜、雛罌粟のような具体的な情景が、気持ちを言語化する手がかりになってくれるのも大きいです。 この本は、短歌の知識をつけるためというより、「自分の感情をどう扱えばいいかわからない時に、言葉のヒントがほしい」人に向いている気がします。古典の技法や背景も丁寧に説明されているので、ただ綺麗な歌を読むだけで終わらず、歌の奥にある時間や気配に自分の悩みを重ねやすいのもありがたいところです。 日々のモヤモヤを静かに整理したい人、ひとつの風景と言葉から気持ちをほどいていきたい人には、とても合う一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
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