
新・思考のための道具 知性を拡張するためのテクノロジー―その歴史と未来
ハワード・ラインゴールド and 日暮雅通
パーソナルメディア / 2006-06
この本について
最近、目の前のタスクに追われてばかりで、「自分はちゃんと考えられているんだろうか」という不安がふっと出てくることがあります。情報もツールも増えたのに、思考そのものはあまり強くなっていない気がして、どこか置いていかれるような感覚です。 この本を読んでみて意外だったのは、コンピュータが“便利な機械”として発明されたわけじゃなく、人間の思考をどうやって拡張できるかをめぐる試行錯誤から生まれてきた、という視点でした。チューリングも、フォン・ノイマンも、時代の制約や目的は違うのに、共通して「自分の頭の働きを増幅する道具」をつくろうとしていた。その流れを知ると、今の自分がツールをどう使うかという問いも、少し別の角度から見えてきます。たとえば、形式的体系の話や万能チューリング・マシンの成り立ちは、ただの歴史知識ではなく、「どこまでを機械に任せて、どこからが自分の判断なのか」を考える手がかりになりますし、技術の限界が心の側にある、という指摘は、逆にこちらの使い方次第でまだ伸びしろがあるんだと感じさせてくれます。 特に、自分の仕事に新しい思考ツールを組み込みたいけれど、AIや計算の理屈が遠く感じる人にはしっくりくるはずです。人間とコンピュータの関係を、未来ではなく“これまで”から理解したい人に向いています。
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