
この本について
仕事でも日常でも、相手の感情を“ちゃんと汲み取らなきゃ”と考えすぎて、逆に距離感が迷子になることがありませんか。寄るべきか引くべきか、その判断がぶれるたびに、自分の見方そのものに自信がなくなる感じです。僕もよくそこに引っかかっていました。 この本の抜粋を読んだとき、そんなモヤモヤに少し風が通った気がしました。市川崑が「泣かせよう」として寄らず、三人称のまま冷静に全体を見せる姿勢は、感情移入だけが正解じゃないことを思い出させてくれます。人の表情ではなく、その人のいる“場”や“関係の線”を見ることで、逆に伝わってくるものがある。そんな視点に触れると、自分のコミュニケーションも少し引きで見ていいんだと思えてきます。 さらに、金田一の視点と観客の視点を一致させる構成の話は、「知りすぎよう」としない方が物事が立ち上がる、という示唆にも読めます。全部を把握しようと詰め込むより、一緒に歩きながら見えてくる情報を丁寧に拾っていく。その方が意外と流れに乗れる。そんな感覚に救われました。 派手な熱量や勢いとは距離を置きたいけれど、ものの見方を整えたい人にはしっくりくる一冊だと思います。
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