
科学の発見 (文春e-book)
スティーヴン・ワインバーグ and 赤根洋子
文藝春秋 / 2016-05-10
この本について
仕事でも日常でも、「何を信じて判断すればいいんだろう」と迷うことが増えました。データだの理論だのと言われても、そもそも“正しい知り方”ってどうやって築かれてきたのか、ふと立ち止まってしまうことがあります。私も同じで、考え方の足場がぐらつく感覚をどう扱えばいいのかずっと悩んでいました。 『科学の発見』は、その足場をいきなり固めてくれる本ではありません。でも、科学がどんな失敗と遠回りを経て今の姿になったのかを追いかけることで、「知るとは何か」という視点が静かに変わっていきます。たとえば、古代の天文学者が自分の観測の不確実性にまったく無自覚だったという話や、ニュートンでさえ実験の誤差を軽視した時期があるという記述は、完璧さよりも“確かめ方そのもの”がいかに重要かを教えてくれます。さらに、数学がなぜ物理に役立つのかという根本的な謎にも触れ、世界を説明する方法が思った以上に揺らぎの上に立っていることを痛感します。 読み終わる頃には、「今の自分が扱える問い」と「まだ扱えない問い」を分ける姿勢が少し身につきます。無理に答えを出そうとして疲れるタイプの人ほど、この視点が効いてくる本だと思います。こんな人に刺さるのは、“考えることをやめたくないけれど、正しさに縛られすぎて苦しくなっている人”です。
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