
世にも奇妙な人体実験の歴史 (文春文庫)
トレヴァー・ノートン and 赤根洋子
文藝春秋 / 2016-11-10
この本について
最近、正しさとか専門性に触れるたびに、「結局どこまで信じていいんだろう…」みたいな気持ちになることが増えてきました。知識が欲しい反面、浅い理解で判断を誤るのも怖い。でも、世の中に“完全に安全な知識”なんてあるのか、と立ち止まることもあります。 『世にも奇妙な人体実験の歴史』は、まさにそのモヤモヤを別方向から揺さぶってくれる本でした。登場するのは、常識を疑い、自分の身体すら実験材料にした人たちばかりで、彼らの行動は当然おすすめできるものではありません。ただ、歴史を追っていくと「人間はどこまで分からないまま突き進んでいたのか」とか、「評価されるのは誰で、現場でリスクを負ったのは誰なのか」といった構図が妙に今と重なります。知識の限界、権威の偏り、判断の誤り…そういうものが生々しく浮かび上がってくる感覚があります。 読み終える頃には、知識を“正しく使う”ことよりも、“どんな前提が抜け落ちているのか”に目が向くようになりました。自分も日々判断に迷う側の人間ですが、こういう歴史を知っておくと、少なくとも無自覚に流されにくくなる気がします。 「専門家の意見をどう受け取ればいいか悩みがちな人」に静かに刺さる一冊だと思います。
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