
笑い (光文社古典新訳文庫)
ベルクソン and 増田 靖彦
講談社 / 2020-07-10
この本について
仕事でも日常でも、人との会話が妙に引っかかったり、「なんでこれがおもしろいんだっけ?」みたいなモヤっとに出会うことがよくあります。自分の中の感情や常識がぴたりと噛み合わず、どこか空回りしてしまうとき、そのズレの正体が分からないまま放置してしまいがちです。 ベルクソンの『笑い』は、そのズレを「生きた思考」と「固まってしまった習慣」の衝突として見せてくれる本でした。言葉遊びが生まれる瞬間の“緊張の緩み”や、同じ行動を繰り返すうちに眠り込んだおかしさが、あるとき突然よみがえる感じ。仕事の場で誰かが職業的な口調を崩さずに話すと、妙におかしく感じる理由。感情をいったん切り離して、無関心な傍観者になると、ドラマが喜劇へと転じて見える感覚。こういう一つひとつが、日常の「なぜそう感じるのか」を静かにほどいていきます。 特に刺さったのは、人の欠点だけでなく美点までも笑ってしまう構造や、笑いは常にどこか“集団の感覚”とつながっているという視点でした。自分が何に違和感を覚えるのかは、意外と自分だけの問題ではなく、社会との接点にあるんだなと気づかされます。 「人間観察が好きだけど、うまく言語化できない」という人には深く刺さると思います。大きく人生を変えるような派手な本ではないのに、日常の景色がすこし静かに変わるような一冊でした。
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