
村上海賊の娘(一)(新潮文庫)
和田 竜
小学館 / 2016-03-30
この本について
仕事でも日常でも、目の前の状況が“全体のどこに位置しているのか”が分からず、判断がぶれるときがあります。情報はあるのに輪郭がつかめない感じで、結局いつも場当たり的に動いてしまう。自分もそんなモヤモヤを抱えていたときに読んだのが『村上海賊の娘』でした。 読者の方が保存していた抜粋を見ると、「難波砂堆」「坊官」「下知」「顕如」「中興」など、時代の構造を形づくる言葉に反応しているように感じます。歴史小説なのに、地名や役職や人物の思惑が“判然”と立ち上がってくる。その結果、当時の人たちがどんな視野で動き、どこで迷い、どう翻意したのかが見えてくるんですよね。自分はそこがすごく効きました。個々の登場人物の判断が、地形や宗教勢力、権力の結びつきにどう左右されるかが具体的で、現代の職場の力学を見るときにも少し距離が取れるようになります。 また、猛禽のように鋭い比喩や、まじろぎ一つしない場面の描写が、その時代の緊張感を身体で理解させてくれるのも強いところです。歴史的な事実をただ知るだけでなく、「こういう背景なら、人はこう動くよな」という実感が残るので、自分の判断にも根拠を持たせやすくなる感じがあります。 こんな人に刺さると思います。自分の置かれている状況を俯瞰したいけれど、抽象論では腑に落ちないタイプの人。歴史のディテールから視点が整う体験ができる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの44%が集中しています。
読書の順序
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