
数字を一つ思い浮かべろ (文春文庫)
ジョン・ヴァードン and 浜野 アキオ
文藝春秋 / 2018-09-04
この本について
仕事でも日常でも、相手の言葉の裏にどんな意図があるのか読みきれず、もやっとすることがありませんか。論理的に見える発言ほど、どこかごまかしの匂いがして落ち着かない。自分の勘が合っているのかも分からず、ただ疲れていく感じです。 『数字を一つ思い浮かべろ』を読んでいると、その「言外のものをつかみたいのに届かない」感覚に少し風が通ります。登場人物たちの会話には、二つの理由の裏に三つ目の理由が隠れていたり、冷静ぶった態度の奥に支配欲がにじんでいたり、過去から届く声が人をどう揺らすか分からなかったりと、人間の複層性がじわっと立ち上がります。派手な推理の爽快感というより、「こういう見え方もあるのか」と視点をひねられる体験が続きます。 特に、どこから見ても不可能なのに、誰かがやってのけた痕跡だけが残っている場面は、現実でもときどき感じる説明不能な違和感と重なります。完璧な理屈で押し切れない状況に出会ったとき、なにを手がかりにすればいいのか。そのヒントを静かに渡してくれる物語でした。 論理の外側にあるものまで含めて考えたい人に刺さると思います。自分の勘を信じる根拠を探しているときに、そっと寄り添ってくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
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