
山崎豊子先生の素顔 (文春文庫)
野上 孝子
文藝春秋 / 2018-09-04
この本について
仕事の段取りを整えても、途中で方針が揺れたり、過去の自分の判断にモヤっとしたりすることってありますよね。私も「もっとスパッと決められたらいいのに」と思いながら、結局いつも迷いながら進んでいます。そんな時に出会ったのが、この本に描かれた山崎豊子さんの“迷いながらも徹底して積み上げる姿”でした。 たとえば、構想が変わるたびに書き足され巻物のように長くなっていく進行表。決して天才的なひらめき一本で書くのではなく、状況が動けば作り直し続ける。その手間を惜しまない姿勢に、私たちが日々の仕事でやっている「何度も組み直すプロセス」そのものが肯定されているように感じました。また、過去の作品を語りたがらない慎重さや、派手な講演を避ける理由に見える“自分を誇らない職人の距離感”も、すごく現実的で救われます。 さらに印象的なのは、落ち込むたびに賢治の詩を声に出して読み上げて、気持ちを立て直していた場面。強がるでもなく、立派な言葉を振りかざすでもなく、自分なりの方法で静かに前を向く。その等身大さが、この本の醍醐味だと思います。 派手な成功の話より、プロの裏側の粘り強さに勇気をもらいたい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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