
オカルトトリック Smoke And Mirrors (N-angou文庫)
八槻翔、はぎや
この本について
人と話していて、「この感覚、わかる人にはわかるんだけど…」みたいな場面ってありませんか。言葉にすればするほどズレるし、説明したらしたで妙に誇張している気もする。結局、自分の中だけで抱えておくしかないあのモヤモヤ。理屈よりも“感じ方の差”が横たわっているときほど、どう向き合えばいいのか迷います。 『オカルトトリック』を読んでいて刺さるのは、この“共有しづらい感覚”を無理に説明しようとせず、あるがまま扱ってくれるところです。「いる人にはいる。いない人にはいない」という一文は、突き放しているようで、実はとても救いがあります。理解できない相手を責めるでもなく、自分の感覚を押しつけるでもなく、その差そのものを前提として生きていいと教えてくれる感じがするんです。また、ユングとフロイトを語る場面のように、権威ある理論でも合う・合わないを正直に切り分けるスタンスが、読者の側にも“違和感を持ったままでいていい”と許可を出してくれる。これが意外と楽になります。 だからこの本は、不思議な現象を追う物語として読む以上に、「説明しにくい感覚を抱えながら日常を歩いている人」の背中をそっと支える役割をしてくれます。何かを証明したり説得したりするための本ではなく、自分の感じ方を否定せずに保っておくための余白をくれる一冊です。こういう“世界との距離感”に悩みがちな人には、特に静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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