
ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF)
グレッグ イーガン、山岸 真
早川書房 / 2019-03-25
この本について
ふと、自分の「軸」みたいなものがわからなくなる時ってありませんか。仕事でも人生でも、気づけば周りの基準に合わせて動いていて、本当に自分がどうありたいのか判断がつかなくなる。そういうタイミングで、現実から少し離れた物語を読むと、逆に自分の足元がくっきり見えてくることがあります。 『ビット・プレイヤー』の抜粋を読んでいると、読者の方が惹かれているのは「自分は何者なのか」という迷いに対して、別の角度から光を当ててくれる部分なんじゃないかと思います。たとえば、全く縁のない世界同士が莫大なエネルギーを割いて協調する場面は、個人の意思や関係性を超えた「つながり」の可能性を静かに示してくれますし、アダムが自分の年齢さえ“どう生きるかの選択肢”として揺れているところには、アイデンティティって固定するものじゃなくて、試行錯誤しながら作っていくものなんだよな……と気づかされます。さらに「新しい何かを作りながら自分を知る」という視点も、行動しないと輪郭が出てこない現実をうまく代弁してくれているように感じます。 SFらしい大きなスケールの設定なのに、読者の迷いに寄り添う形で“自分をどう形づくるか”を考えさせてくれるのが、この作品の面白いところです。現実逃避ではなく、現実を少し横から見るための余白が欲しい人には特に刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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