
15歳のテロリスト (メディアワークス文庫)
松村 涼哉
KADOKAWA / 2019-03-23
この本について
人間関係が一度途切れたら、それっきりになるんじゃないか。うまく立ち回れなくて、本心とは違う演技ばかり続けてしまう。そんな自分に気づきつつも、止め方が分からないまま日々が過ぎていく。最近、こういう疲れ方をしている人、多い気がします。 『15歳のテロリスト』を読んでいて刺さるのは、テロという派手な出来事よりも、むしろその裏にある「孤立のリアル」でした。友達の連絡先さえSNSのアカウントだけで、それを切ればもう一生つながれない関係性。闇の中を走り続けるような焦りや苛立ち。無心でいられるのは走っている間だけ、というあの感覚。このあたりが、抜粋を保存した読者には強く響いているように思います。 この物語が効いてくるのは、答えをくれるからではなく、孤独や怒りを「切り捨てなくていいもの」として扱ってくれるところです。取材記者の視点を通して、暴走の裏にある痛みを丁寧に追いかけていく流れは、誰かの行動を単純化して判断しがちな自分の視野を少しだけ広げてくれます。それに、満月だけが月じゃないという一言のように、完璧じゃなくても存在を否定しなくていい、という柔らかい視点にも救われます。 人との距離感に疲れている人。正しさよりも痛みのほうが大きく感じてしまう時期にいる人。そんな人に静かに刺さる物語だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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