
暗いところで待ち合わせ
乙一
幻冬舎
この本について
人と関わったあと、家に帰ってから言葉を反芻して落ち込んだり、誰かの些細な優しさに救われてしまう自分がちょっと情けなく思えたり。距離をとって生きようとするほど、逆に他人の存在が気になってしまうことってありますよね。自分もそういうモヤモヤを長く抱えてきました。 『暗いところで待ち合わせ』は、そんな「他人と触れるのが怖いのに、完全に離れられない」感じに静かに寄り添ってくれました。たとえば、会話のあとに自己嫌悪でぐるぐるする描写がやけに生々しくて、読んでいるというより、自分の胸の内を言語化してもらったような気持ちになります。逆に、誰かがそっと台所を片づけてくれただけで心がほどけていくシーンは、他人の優しさって本当に“ちょっとしたこと”で十分なんだと気づかされました。さらに、「あこがれなければ傷つかない」という考えにしがみつく登場人物の姿は、守りに入りたくなる自分と重なって、目をそらしにくい部分でもありました。 大きなドラマより、関係が一歩だけ動く瞬間を丁寧にすくっていく物語なので、派手さはありません。でも、その“一歩”が生きづらさの中でどれだけ大きいかを、静かに教えてくれます。誰かと距離を取らないと楽になれないのに、完全な孤独には耐えられない。そんな揺れの中にいる人にはきっと刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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