
暇と退屈の倫理学(新潮文庫)
國分功一郎
朝日出版社 / 2021-12-23
この本について
最近、気づけばスマホを開いては閉じて、何をしたいのか自分でもよく分からないまま時間が溶けていくことがあります。忙しいわけでもないのに落ち着かない。休んでいるはずなのに休めていない。この「理由の分からないしんどさ」を持て余している人って多いんじゃないかと思います。 『暇と退屈の倫理学』は、このモヤモヤを「人間は部屋にじっとしていられない」という根っこから掘り起こしてくる本です。退屈の正体が、快楽や刺激が足りないことではなく、「興奮を求めてしまう仕組み」にあると説明されると、自分の行動の見え方が少し変わります。何かに熱中できない自分を責めるのではなく、「欲望の対象と原因を取り違えていないか」という視点を持てるようになるのが、この本の効き方の一つでした。 さらに読んでいて刺さるのは、外側から与えられた使命や忙しさに熱意を乗せてしまう危うさを指摘しているところです。自分の中にある “何を求めているのか分からないまま動き続けてしまう感じ” を、無理に肯定も否定もせず、そのまま見つめさせてくれる。現実的な範囲での「退屈との付き合い方」を考えるきっかけになります。 普段「刺激がないと不安になるけど、刺激に頼るのもしんどい」と感じている人に、とても静かに響く本だと思います。
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