
はじめてのスピノザ 自由へのエチカ (講談社現代新書)
國分功一郎
講談社 / 2020-11-18
この本について
「自分はもっとできるはずなのに噛み合わない」とか、「他人を見て落ち込むけれど、じゃあどうすればいいのか分からない」というモヤモヤ、僕もよく抱えています。頑張り方を変えるのか、考え方を変えるのか、それとも休めばいいのか…正解が見えないまま動けなくなることがあるんですよね。 『はじめてのスピノザ』は、その停滞を一気に解決してくれるタイプの本ではありません。でも、自分の中の基準が固まってしまっているせいで苦しくなっていたんだな、と気づかせてくれる瞬間がいくつもありました。たとえば「完全/不完全という評価は、人間側の一般的観念にすぎない」という話は、他人と自分を比較して勝手に落ち込んでいた時の視界をすっと広げてくれます。あるいは「自分にとって善いものとは、活動能力を増やす組み合わせ」という視点は、合わない環境や人を無理に肯定しなくていい理由を具体的に示してくれます。 そして個人的に刺さったのは「倫理は実験だ」という姿勢です。刺激にどう反応できるかで私たちの力は変わる。だから自分に合うものかどうかは、試してみないと分からない。こう言われると、人生の調整ってもっと柔らかくやっていいんだなと思えます。 他人と比べて消耗しがちな人、自分のペースが分からなくなっている人には、静かに効く本だと思います。
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