
NHK「100分de名著」ブックス 歎異抄 仏にわが身をゆだねよ
釈 徹宗
この本について
仕事や日常で「自分の努力だけではどうにもならない」と感じるとき、つい都合のいい考え方を探してしまうことがあります。宗教でも哲学でも、便利な“道具箱”みたいに扱ってしまうあの感じです。でも、そうするとまた自分を責める方向に戻ってしまって、堂々巡りになるんですよね。 『歎異抄』は、その堂々巡りをいったん止めてくれる本でした。特に「罪を消すために念仏するのは自力」と突きつけられるところや、「悪人こそ救われる」という逆転の視点は、自分の内側を整えようと必死になっていた態度をやさしくひっくり返してくれます。また、親鸞が「仏に背き続ける自分」を正直に語っている部分に触れると、きれい事ではなく、人間のどうしようもなさごと抱えたままでいいのだ、と少し息ができます。 そしてこの本が教えてくれた一番の変化は、浄土という考え方を「死後に行く場所」ではなく、「今・ここを歩む道」として捉え直す視点でした。自分の力の限界にぶつかったときに、抗うのではなく「おまかせします」と言える余白を持つこと。それが意外と、現実の行動にも落ちてきます。 自分を責めがちな人、努力と諦めの間でいつも揺れている人には、とても静かに効く本です。
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