
上流階級 富久丸百貨店外商部 II (小学館文庫)
高殿円
小学館 / 2019-08-11
この本について
ふだん仕事でも生活でも、「これって自分だけが下手なんじゃないか」「みんな当然のように乗り越えているんだろうな」と思う瞬間がけっこうあります。頼るのが苦手だったり、人との距離の取り方に迷ったり、孤独をどう扱えばいいのかよくわからなかったり。正解を誰も教えてくれないまま大人になってしまった感じが残るんですよね。 『上流階級 II』を読んでいて感じたのは、この物語はきらびやかな世界の話に見えて、実は人間関係の「現実」にとても忠実だということです。お客様に聞くことは頼ることだと気づく場面や、信頼は一人で抱えこまないことで生まれるという言葉、そして孤独を避けるのは弱さじゃなくて本能だという視点。どれも派手さはないのに、自分の生活のどこかにすっと入ってくる感覚がありました。強くあることを求められがちな世の中で、弱さや不自由さを前提にしていいと言ってもらえる感じがします。 しかもこの作品は、「みんなこうあるべき」という押しつけがないんですよね。花が好きでも飾れないように、人にはそれぞれ事情があって、その前提が違うだけ。だからこそ、どう生きるかの選択肢が自然と見えてくる。無理に前向きにならなくても、少し肩の力が抜けて、自分のペースで考え直せる余白がある物語です。 自分の弱さや迷いを抱えたまま生きている人ほど、静かに効いてくる一冊だと思います。こんな人に刺さる作品です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの45%が集中しています。
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