
筒美京平 大ヒットメーカーの秘密 (文春新書)
近田 春夫
文藝春秋 / 2021-08-19
この本について
仕事をしていると、「自分の感覚って古いのかな」「流行を追っても結局よく分からないまま」と、なんとなく置いていかれる感じが出てくることがあります。音楽でも同じで、Jポップの“らしさ”って何なのか、人によって説明がまるで違う。自分の中でも整理がつかないまま時間だけ進んでいくような感覚がありました。 この本を読むと、そのモヤモヤが少し言語化されます。筒美京平という作曲家を軸に、歌謡曲からJポップまでの“変化の筋道”が、自分の感覚と重ねながら理解できるんです。たとえば、歌詞が中心になった背景や、メロディの丸みと直線の違いがどう作用していたのか、さらには日本語が持つクセがどう音作りに影響していたのか。読んでいるうちに、「なんで自分はこの曲に刺さるんだろう」が、少し客観的に掴めるようになるんですよね。 特に印象的だったのは、筒美京平の音楽には“実体としてのスタイル”がないという指摘。何かを通して濾過するフィルターでしかない、という視点です。これが、創作や仕事で「自分らしさって一体どこにあるのか」と迷う時の、小さな救いにもなりました。固定の型を持たない在り方も、ちゃんと一つの方法なんだと感じられるからです。 音楽が好きな人はもちろん、「自分の感性をどう扱えばいいか迷っている人」に静かに刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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