
ほねがらみ (幻冬舎文庫)
芦花公園
幻冬舎 / 2021-04-13
この本について
日常のどこかで、理由のわからない違和感に足を取られることがあります。説明できないのに、妙に気になって離れない。自分の中の「これは何なんだろう」というもやつきが、置き去りのまま積もっていく感じです。僕自身そういう瞬間が多くて、正面から向き合うには少し気力が足りないけれど、見なかったことにするのもしんどい。そんな時に読んだのが『ほねがらみ』でした。 この作品の面白さは、単に怖さを積み上げるのではなく、断片的な記録や土地の由来、信仰のルーツが静かに繋がっていくところです。たとえば、八幡という地名の由来から秦氏の話へ滑り込んでいくあたり、「自分が立っている場所にも、知らない層が積み重なっているのかもしれない」と視点が変わりました。あるいは、古い賛歌の一節が突然現れて、物語の空気がひんやり反転する瞬間。情報が並んでいるだけなのに、背後にあるものの輪郭がじわっと浮かぶんです。七人ミサキやクトゥルー神話の引用も、作り話と実在の境目が曖昧になる感覚をくっきりさせてくれました。 読んでいると、自分の中の「説明できない違和感」にも、もしかしたらこういう裏側があるのかもと、少しだけ向き合いやすくなる気がします。怖がらせるためのホラーではなく、現実の手触りを持ったまま、見えていない層をそっと教えてくれる本です。日常の影をつい考えてしまうタイプの人には、特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
読書の順序
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