
グレイス・イヤー 少女たちの聖域
キム リゲット、堀江 里美
早川書房 / 2022-11-16
この本について
最近、人間関係でも仕事でも「本音を出したら壊れそうで、でも抑え込んでると自分が摩耗する」みたいな感覚が続いていて。怒りとか悔しさって、本当はただの弱さじゃなくて、生き延びるためのサインなんじゃないかと思う瞬間があります。でも、その感情をどう扱えばいいのか分からないまま、日々をやり過ごしてしまうことも多いですよね。 『グレイス・イヤー 少女たちの聖域』は、そういう“押し込めてきた感情の行き場”にそっと光を当ててくる物語でした。作中の「内側には彼らの手が届かない場所がある」という言葉は、外の環境にどれだけ揺さぶられても、自分の大事な部分までは奪われない、という静かな強さを思い出させてくれます。怒りが生まれるときの息苦しさを、ただ否定するのではなく、「奪われたものがあるからこそ湧く自然な反応」として受け止め直すきっかけにもなりました。そして、弱さや怒りを抱えたままでも、人と関わる余白を残せるという視点が、この物語のもう一つの救いです。 大きな覚悟を迫るような本ではないけれど、自分の中の火を見て見ぬふりしてきた人には、静かに効いてきます。感情の扱いにいつも迷ってしまう人にとって、少し呼吸がしやすくなる物語だと思います。
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