
スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)
辻村深月
講談社 / 2010-01-15
この本について
最近、誰かとの距離がふと開いてしまったり、自分の言葉に自分が追い詰められたり、感情の行き場が見えなくなることが増えました。強くいたいのに優しくもありたくて、その両方をうまく扱えずに空回りする感じ。創作に限らず、仕事や人間関係でも同じようなことが起きるんですよね。 『スロウハイツの神様(下)』は、そういう“自分の中の扱いづらい部分”をそのままの形で置いておける物語でした。悪いこともいいことも続かないという穏やかな視点は、今の気持ちを否定せずに一歩外へ出してくれるし、怒りや闇を創作や行動の燃料にしすぎる怖さも、物語の中で丁寧に描かれています。また、「優しさ」と「強さ」はどちらかを選ぶものではなく、ふだん気づかないだけで人は案外その両方を持っている、というまなざしが静かに効いてきます。 読んでいるうちに、誰かに依存してしまう瞬間や、自分を大きく見せようとしてしまう癖も、少しだけ距離を置いて見られるようになる。感情の“底の浅いプールで足がついているのに、つかないふりをしてしまう”ような不器用さも、ここでは否定されません。 自分の感情の扱い方に迷いがある人、優しさと強さのバランスに悩む人には、とても静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの42%が集中しています。
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