
完全解読 フッサール『現象学の理念』 (講談社選書メチエ)
竹田青嗣
講談社 / 2012-03-09
この本について
仕事でも日常でも、目の前の出来事をどう捉えればいいのか迷うことってありますよね。自分の感じたことは本当に正しいのか、相手の言葉をどう理解すればいいのか、そもそも「認識する」とは何なのか。考え出すと止まらないのに、どこから手をつければいいのか分からないまま時間だけが過ぎていく、みたいな。 この本を読んでいて救われたのは、「科学的に証明できるかどうか」とか「客観的に正しいのか」といった話より前に、そもそも僕たちの意識の中でどんなふうに認識が形づくられているのかを、いったん立ち止まって“直接見に行く”という姿勢を教えてくれるところでした。たとえば、当たり前だと思っている知覚ですら、内省してみると時間的な構成を受けている、と気づかされる場面があります。主客がどうとか、相対主義がどうとかの議論にいきなり入るのではなく、「自分が疑えない最初の一歩」に戻る感覚ですね。 もうひとつ大きかったのは、現象学的還元という方法が、ふわっとした哲学の話ではなく、「自分が世界を見るときの前提をいったん外す」という、ごく実践的な態度として示されていることです。相手の意図を読み違えたときや、仕事の判断で迷ったときに、この“前提の棚上げ”は意外と効きます。確かに全部が解決するわけじゃないけれど、認識の土台を見直すと、余計な混乱が減る実感があります。 「物事をどう見ればいいかがよく揺らぐ人」には、とても静かに効く一冊だと思います。
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