
カラー版 名画を見る眼 Ⅰ 油彩画誕生からマネまで (岩波新書)
高階 秀爾
岩波書店 / 2023-05-23
この本について
絵を見る時に、自分は何を見落としているんだろう…というモヤモヤを抱えることがよくあります。美術館に行っても、ただ「きれいだな」で終わってしまって、その絵がなぜそう見えるのか、どんな意味が込められているのかがつかめないまま帰ることが多いんですよね。 この本は、まさにその「見えないものが見えなくて苦しい」感じにやさしく手を伸ばしてくれる一冊でした。抜粋にもあるように、結婚を象徴する一本の蝋燭、聖女マルガレーテの木彫、補色の配置ひとつまで、絵の“後ろ側”にある意図をとても落ち着いた筆致で教えてくれます。象徴や色彩がこうやって積み上がって画面の意味が立ち上がるのか、と気づくたびに、ただ鑑賞していたはずの作品が急に立体的になっていく感じがあります。また、油彩の技法が商業都市フランドルで発達した理由や、鏡が室内にもう一つの空間を作り出す仕組みなど、絵の前の「背景」まで理解できるのがありがたいところです。 美術の知識を積みたいというより、「せっかく作品に向き合うなら、もう少し深く味わえるようになりたい」という人には特に合うと思います。僕自身も、同じ絵の前に立っていても、見る視点ひとつで世界の密度が変わるんだと実感させられました。こういう変化をゆっくり育てたい人にはかなりしっくりくる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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