
老神介護 (角川文庫)
劉 慈欣, 大森 望, and 古市 雅子
この本について
最近、自分の努力だけではどうにもできない格差とか、生まれた場所や時代で決まってしまう限界みたいなものに、ふと立ち止まってしまうことがありませんか。仕事でも人生でも、「自分の意思で選んでいるつもりだけど、本当にそうか?」みたいなモヤモヤが残るときがあります。そういう気分のときに『老神介護』を読むと、少し視点の位置が変わります。 この本の抜粋を見ていると、読者が刺さっているのは“極端な未来設定の裏側にある、人間そのものの悲しさや強さ”の部分なんですよね。神が憐れまれる存在になってしまう話や、文明の老いの話、そして宇宙の片隅でひとり生きていく研究者の独白――どれもSFの装いをしているけれど、根っこは私たちの現実にもそのまま重なるものばかりです。教育格差や職業倫理、富の偏在など、普段はニュースとして流れていくものが、物語の中で自分ごととして立ち上がってきます。 読みながら感じたのは、世界の大きさを知ることで、いま目の前にある選択が少しだけ広く見えるということ。大事にしたいものをちゃんと大事にしていいと思えるし、逆に手放すべきものも見えてくる。こういう“距離のとり方”を教えてくれるSFは、実は現実にいちばん効くのかもしれません。 自分の立っている場所に違和感がある人、あるいは「世界をもう少し遠くから見てみたい」と思っている人に向いています。
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