
この本について
身近な人を亡くしたとき、何をどう受け止めればいいのか、正直よくわからないまま時間だけが進んでいくことがあります。悲しいとか寂しいとかより先に、「どこまで考えていいんだろう」「話していいんだろうか」と戸惑いのほうが勝ってしまう感じです。自分の後悔が重たいのか軽いのか、そもそも手放すべきなのかすら判断できないまま、ふとした瞬間だけ心が沈む。そういう揺らぎを抱えたまま、生きている人は多いと思います。 『死なれちゃったあとで』は、その揺らぎそのものに一度立ち止まらせてくれる本でした。葬儀が「区切り」になる理由をていねいに描きつつ、後悔を無理に手放さなくてもいい、むしろ“いかりのように降ろしておくことで、その人の死が時間とともに意味を変えていく”という視点が新鮮でした。また、コロナ禍で葬儀すら通常の形でできなかった人たちの現実や、話すこと自体に遠慮が生まれてしまう空気も描かれていて、「喪失の話題を口にすること」への許可をそっと出してくれるような温度があります。 読みながら、自分の中で止まっていた記憶同士が少しずつ紐づいていくような感覚があって、喪失の捉え方に“経年変化”があるという言葉がしっくりきました。強がらなくていいし、きれいに整理できなくてもいい。そういう受け止め方をしている人が確かにいる、と知れるだけで楽になります。 大切な人の死をめぐる気持ちがずっと宙づりのままになっている人に、静かに刺さる本です。
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