
流出する日本人―海外移住の光と影 (中公新書)
大石奈々
この本について
海外移住の話題って、一度でも考えたことがある人なら、胸のどこかにモヤっとした感覚が残ると思うんです。日本の働き方の窮屈さとか、子育てのプレッシャーとか、将来のキャリアがこのままでいいのかとか。移住までは踏み切れないけれど、あの選択肢の裏側がどうなっているのかはずっと気になっている、そんな感じに近いと思います。 この本は、その「気になっている部分」をかなり現実的に見せてくれる一冊でした。例えば、豪州に移った家庭が、子どもの個性が尊重されるだけで親自身の呼吸がしやすくなったという話には、日常のちょっとした違和感が実は環境の問題だったと気づかされます。一方で、富裕層の節税目的の移住ラッシュや出国税の導入など、ニュースでは聞こえにくい制度の影響も丁寧に触れられていて、「移住」といっても立場や理由によってまったく景色が違うことがわかる。さらに、戻ってくる人が一定数いるという事実も書かれていて、行けば万事うまくいくわけではない現実が、むしろ安心材料になる人もいるはずです。 読んでいて一番救われたのは、移住を選ぶ人たちの背景が「逃げ」ではなく、自分の生きやすさや子どもの未来を冷静に探った結果だという点でした。だからこそ、自分も人生の選択肢をもう少し自由に考えていいのかもしれない、と肩の力が抜けます。 今の生活に小さな息苦しさを感じていて、「もし別の生き方があるとしたら?」と一度でも考えたことのある人に刺さるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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