
ぶらり世界裁判放浪記 (幻冬舎単行本)
原口侑子
幻冬舎 / 2024-07-03
この本について
ときどき、自分が見ている世界があまりにも“一枚板”に感じてしまうことがあります。制度も価値観も、どこか画一的に見えてしまって、「本当にこれが普遍なのか?」と疑いたくなる瞬間がある。でも、かといって海外事情を深掘りするほどの余裕も気力もない。そんなときに、この本のように“実際の現場を歩いた人の目線”で書かれたものが、思っていた以上に効いてきます。 著者が各国の裁判所を回りながら見たのは、立派な制度の説明ではなく、人々の生活臭のなかで動く「法のリアル」。例えば、赤ん坊の泣き声が響くマラウイの法廷の様子や、伝統法・宗教法・植民地法・近代法が折り重なるアフリカ諸国の複雑さ。あるいは、公開裁判の原則に潜む“他人の人生を娯楽にしてしまう怖さ”。どれも教科書的な知識ではなく、「制度の裏に生きている人間そのもの」を見せてくれます。 読んでいて救われるのは、著者自身が最初から高尚な問題意識を持って旅していたわけではなく、「友人におもしろいと言われたから」という曖昧な理由で法廷巡りを始めているところ。動機が立派じゃなくても、見える景色はこんなに変わるのか、と少し肩の力が抜けます。 自分の世界の広さを“制度”ではなく“生活の息づかい”から更新したい人に、とても静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの42%が集中しています。
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