月とコーヒー

月とコーヒー

吉田篤弘

徳間書店 / 2019-02

累計読者数19
平均ハイライト数 4.1件/人
推定読了時間 約6時間43分
star総合評価 40/100
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この本について

仕事に追われていると、必要なものだけを優先して、気づけば「自分の世界の余白」がなくなっているときがあります。読んでも書いても、何かがしぼんでいく感じがして、でも原因はよくわからない。僕もそういう時期が長く続いたのですが、『月とコーヒー』は、その停滞を無理に押し流すのではなく、静かにほどいてくれるような本でした。 この物語の中には、派手な事件はほとんど起きません。けれど、料理人がヘルパーでもある日常のにじみ、魔法を“使う”より“修行する時間”を尊ぶ感覚、物語を書きたいのに一歩が出ないもどかしさ、そういう小さな揺らぎが丁寧に描かれています。読んでいるうちに、自分の生活にも同じような「とるにたらないもの」がいくつもあることに気づき、それを雑に扱っていたなと少し反省しました。必要性はないけれど、日々を続けていくためには確かに欠かせないもの。そういう視点がそっと戻ってきます。 特に、ページを開けば別の世界が現れ、閉じれば現実の音が戻ってくるというくだりに、僕はかなり救われました。閉め出していたのは外ではなく自分の方だったのかもしれない、と素直に思えたからです。そういう意味で、この本は「前に進む力」というより、「立ち止まってもいい理由」を与えてくれる一冊です。 日常のなかで自分の感覚が平らになってきたなと感じている人に、そっと刺さると思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

人気作家が腕によりをかけて紡いだ「とっておき」の24篇。全作品原稿用紙10枚ちょっと。5分で読めるのに忘れえぬ物語たち。
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