
この本について
なんとなく毎日が薄く感じることってありますよね。忙しくはしているのに、どこか自分の心だけ置き去りになっているような感覚。歩いているはずなのに、頭の中は予定や通知でいっぱいで、気づけば「今日、自分は何を感じてたんだろう」と思う日が続いたりします。僕自身もそうで、この本に出会うまでは散歩すら“移動のついで”みたいに扱っていました。 『歩け、歩け、歩け。』は、そういうモヤった状態から一歩外へ連れ出してくれます。ただ運動になるとか、気分転換になるとかではなく、歩くという行為そのものを、自分の思考と感覚を取り戻す場所として捉え直させてくれるんです。足の動きに気づくこと、風や温度に意識を向けること、誰かの言葉ではなく自分の言葉で考える時間をつくること。そのどれもが、忘れていた“自分の深海”に潜るきっかけになりました。特に、耳で本を聴きながら歩く習慣がある人には、歩くことと“学ぶこと”を分けて考える視点が刺さると思います。 読んでいて感じたのは、歩くことが特別な修行ではなく、自分という畑をほんの少し耕し直す行為なんだということです。知識を増やすだけでは変わらなかった部分が、歩きながら考えることでゆっくり形になる。その積み重ねが、生きている実感に戻してくれるのかもしれません。 忙しいけれど心が追いついていない人、自分の考えを深く掘れずに浅瀬をうろうろしている気がする人には、静かに響く一冊だと思います。
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