
援助者必携 心理カウンセリングのための精神病理学入門
内海健 and 津川律子
この本について
臨床や支援の場にいると、「この人の経験を本当に理解できているんだろうか…」というモヤモヤがつきまといますよね。相手の語る世界が自分の想像を越えていくほど、どこまで踏み込んでいいのか、どこから先はわかったふりになるのか、判断に迷う瞬間が増えていきます。僕自身も、そこで立ち止まることが多かったです。 この本が助けになるのは、まず「了解できない状態」を前提に置いてくれるところです。ヤスパース的な“こちらから相手を理解しに行く”姿勢の限界を指摘しつつ、むしろ了解できないところからこそ始まるempathyの感覚を丁寧に言語化してくれる。相手に感情移入ができなくても、「途轍もない事態に陥っている」ことだけは確かに伝わる、という視点は、支援の場での立ち位置を少し楽にしてくれます。 もう一つありがたいのは、診断名や理論を“絶対的な枠”として扱わない点です。操作主義やDSMの成り立ち、内因性とストレス因性の揺らぎなどを踏まえて、症状をどう捉えるかの現実的な距離感を教えてくれる。とくに統合失調症の「言語の危機」や内因性うつの「自生性」など、ラベルの奥にある現象をどう感じ取るかの説明は、現場で混乱したときの足場になります。 支援の仕事で「わかったつもり」が怖い人、そして相手の世界にどう開かれるか悩んでいる人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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