
ある映画の異変について目撃情報を募ります (スターツ出版文庫単行本)
海藤文字 and 狐歪野ツッコ
スターツ出版 / 2025-07-18
この本について
最近、理由の分からない不安にじわっと掴まれる瞬間が増えた気がします。暗い廊下を歩くときとか、通知が来ているのに開けられないときとか、説明できない“正体のなさ”が一番やっかいなんですよね。頭では大したことじゃないと分かっているのに、心だけ置いていかれる感じというか。 『ある映画の異変について目撃情報を募ります』を読んでいて、まず刺さったのはまさにその「分からないものが一番怖い」という視点でした。怖さの正体を暴くのではなく、分からなさの輪郭だけがじわじわ広がっていく感じが、自分の生活で抱えている不安となんだか地続きなんです。映画館バイトの噂話や、土地の祭礼にまつわる断片がぽつぽつ出てくるのに、決定的な答えが掴めないまま進むところも、日常の“説明できない違和感”に似ていて妙に落ち着きました。 それに、この本は恐怖そのものより、「分からない状態をどう扱うか」に視点を向けてくれるのが良かったです。はっきりさせようとすると余計に混乱することもあるし、見えないままの輪郭をそのまま受け取るほうが楽なときもあるよなと。読み終えてすぐ行動が変わるような派手さはないですが、暗い部屋に入るときの身構えが少し軽くなるような、そんな後味が残りました。 正体の見えない不安とどう付き合えばいいのか分からない人にこそ、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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