
マルドゥック・スクランブル The 2nd Combustion─燃焼 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
冲方 丁
この本について
なんとなく「自分の中の獣っぽさ」に気づいてしまう瞬間ってありませんか。余裕がなくなると誰かを妬んだり、意味もなく攻撃的になったり、決めたはずのことを後からぐだぐだ考えて動けなくなったり。理性とか価値観を大事にしているつもりでも、ふとした拍子に揺さぶられてしまう。ああ、自分もそんなに強くできてないんだよな、と思うあの感じです。 『マルドゥック・スクランブル 2巻』の抜粋を見ていると、読者が刺さっているのは「人間の行動がどれだけ本能に引っぱられるか」と「それでも価値を創り、生き方を選ぶ余地がある」という対比なんだろうなと思います。動物的な衝動に近い残酷さが淡々と語られる一方で、「価値を当てはめることで本能に拮抗できる」という一文がある。この落差に、自分の弱さをどう扱うかというヒントがある気がします。 物語の中で、登場人物たちは自分の「選択」を何度も突きつけられます。決めたあとに迷い続ける癖をどう扱うかとか、事件が終わった後に何をしたいと思えるのかとか、自分の人生に価値を見つけるとはどういうことなのかとか。大げさな励ましではなく、現実の迷いに寄り添いながら、それでも前に進むとはこういうことかもしれない、と思わせてくれる描き方が印象的でした。 自分の弱さを嫌悪しがちな人、自分は結局どこまで進めるのかと不安になる人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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