
掲載禁止(新潮文庫) 禁止シリーズ
長江俊和
新潮社 / 2018-03-01
この本について
最近、人の「弱さ」や「残酷さ」に触れる場面が増えた気がします。ニュースを見ても、SNSを眺めても、どこか自分の心がざわつくことがある。見たくないのに目が離れない。その感覚に、少し疲れてしまうこともあります。 『掲載禁止』を読むと、そのざわつきの正体に触れざるをえません。人がなぜ他人の破滅を見たがるのか。どこまでが自分の意志で、どこからが環境や “洗われた価値観” なのか。作中の会話や描写は、エンタメの皮をかぶりながら、こちらの心の奥でひっそり動いているスイッチに触れてきます。特に「人の死は最高の娯楽」という言葉に保存した方が多いのは、人間の暗い部分を突きつけられつつ、どこか思い当たる瞬間があるからだと思います。 作品を読んで得られるのは、決して「正しい答え」ではなく、自分の感覚を確かめ直す機会に近いです。例えば、日常で何気なく流しているニュースや、集団の空気に従っている自分に気づくこと。あるいは、自分ならどの瞬間で立ち止まれるのかを、物語の中で試されているような感覚。そういう意味で、この本は現実の不安や混沌と向き合うときの“位置確認”に近い働きをしてくれます。 自分の内側の暗さや曖昧さに、一度ちゃんと向き合ってみたい人には刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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