
量子力学の哲学 非実在性・非局所性・粒子と波の二重性 (講談社現代新書)
森田邦久
講談社 / 2011-09-16
この本について
たとえば、自分の選択がどこまで「自分の意思」なのか、あるいは世の中の出来事にどれくらい理由を求めていいのか。日常ではあまり言葉にしないけれど、ふと立ち止まったときに引っかかる感覚ってありますよね。過去は固定されていて未来は開いているように感じるのに、その境目がどこにあるのかは説明しづらい。僕自身、この違和感をずっと放置してきました。 森田邦久さんの『量子力学の哲学』は、そんなモヤモヤに対して「世界はそもそもどう成り立っているのか」という視点を静かに差し出してくれます。量子の振る舞いは未来を確率でしか語れないし、観測しないと状態が確定しないという、古典力学とはまったく違う前提が積み上がっています。そこに対して複数の解釈があり、どれも実験的には優劣がつかないという事実は、僕には「世界を一つのルールで理解しなくていい」という許しのようにも感じられました。また、非局所相関のような直感に反した現象をどう扱うかを知ることで、因果を絶対視しすぎていた自分に気づかされます。 「ひとつの説明で世界を整理しようとして苦しくなるタイプの人」に静かに刺さる本だと思います。物理の知識が目的というより、世界の見え方に余白をつくりたいときにそっと置いておける一冊です。
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